007シリーズ『ドクター・ノオ』

映画ファンであればおなじみの、『007』シリーズの原作で、著者はイアン・フレミングです。

イギリスの秘密諜報員たるジェイムズ・ボンドが、ジャマイカにある支部局員が姿を急きょ消してしまった謎を解くべく派遣されます。原作と比べて、映画は脚色されている部分が多いのですが、この作品に関しては原作のほうがダイナミックな描写がされています。

映画にも登場した龍型戦車もそのまま登場していますし、ドクター・ノオの要塞の描写もなかなか凝っています。

一番のスペクタクルは、「実験」と称して、ドクター・ノオが仕掛けた脱出ゲームの通路をボンドが潜り抜けていくところといえます。さまざまな仕掛けが用意されている中、ボンドは機智と、ドクター・ノオの目を盗んで用意したさまざまな武器を使って乗り越えていきます。映画のように、兵器開発部の「Q」が用意した特殊装備はありませんが、それに比較するほど、ボンドが即席で作り出したアイテムの活躍が光っています。

『007』といえばボンドガールですが、野性味と純粋さを兼ね備えたハニーの存在は、ほかの作品にはない新鮮さが目立っています。

映画ではドクター・ノオは秘密結社スペクターの一員ですが、小説ではソ連の機関「スメルシュ」の協力者であるという違いもあります(原作初期~中期において、ボンドの宿敵になっているのはスメルシュです)。

映画では直接対決するドクター・ノオとボンドですが、小説での決着の付け方もなかなか凝っていて面白いです。

読むごとに作品の世界に引き込まれてワクワクすることうけあいです。