ヘンリー・ハガードの冒険小説で、狩人にして商人のアラン・クォーターメン、ヘンリー・カーティス卿、ジョン・グッド大佐がカーティス興の弟であるジョージと、ダイヤモンドの謎を探って繰り広げる冒険活劇です。
最初のほうに出てくる、砂漠や山岳を踏破する部分の過酷さは読んでいて余りあるものがあります。極限状態に陥りつつも、男らしさを失わない一同の姿が見事です。
ククアナ国に入り込んでからは、グッド大佐のふとした癖が現地の人々を畏怖させるというユーモラスな一面もありますが、その後でのツワラ王の残虐さと対比されているようにも感じます。
そしてクォーターメン一同の従者であったウンボバが、実はククアナ王の正統たるイグノシであったことが判明した後で繰り広げられる戦闘は勇壮さに満ちています。その後に「高度の魔法」と称して、日食を利用するところの描写も迫力があります。
もっともハイライトとなるのは、イグノシ軍とツワラ軍との戦争の描写でしょう。近代兵器を使わず、盾と斧、そしてなによりも兵士たちの勇壮さを武器にした争いは血沸き肉躍る、といっても過言ではありません。その中で老武者インファドースと、カーティス卿の戦いぶりが群を抜いています。
その後、カーティス卿とツワラの決闘が繰り広げられるのですが、どちらが勝ってもおかしくもない、スぺクタルさに満ちています。
そのほかの部分も読みごたえがありますので、必読すべきおすすめの一冊といえます。